令和5年度 山口宇部医療センター 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
この集計は令和5年4月1日から令和6年3月31日までに退院された患者のうち、一般病棟に1回以上入院された患者について集計しています。
この集計における一般病棟とは、一般病床のうち指定された病床を除いた病床を指します。
【病床の区分】
療養病床(長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床)
精神病床(精神疾患を有する者を入院させるための病床)
感染症病床(感染症の患者を入院させるための病床)
結核病床(結核の患者を入院させるための病床)
一般病床(上記以外の病床)
当院は一般病床が335床、結核病床が30床、合計365床です。 この集計では、結核病床(30床)、一般病床のうち緩和ケア病棟(25床)と重症心身障害者病棟(120床)を除いた190床について集計しています。
・医科保険適用とし、自賠責・労災保険・自費・DPC対象外の患者は除外しています。
・入院後24時間以内に死亡した患者は除外しています。
・10件未満の項目については、“-(ハイフン)”にて表示しています。
・診療科名について、令和5年度における標ぼう診療科での集計となっています。

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 15 35 56 246 514 1137 480 51
令和5年度の退院患者の人数を、10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の満年齢です。 当院の入院患者は、60歳以上の占める割合が85.8%、80歳以上が20.9%と、比較的ご高齢の患者が多くを占めています。年代別の主な疾患は、30歳代以下では気胸、肺結核であり、60歳以上では肺の悪性腫瘍、細菌性肺炎、間質性肺炎などです。 平均年齢は71.1歳、中央値は76.0歳です。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科、呼吸器内科 腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 223 21.85 18.65 0.18 74.03
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 主術・処置等2-4あり 定義副傷病なし 222 11.48 8.33 0.91 69.95
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1-2あり 主術・処置等2なし 定義副傷病なし 212 3.75 2.98 0.08 71.17
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 主術・処置等2なし 154 24.82 13.59 0.30 72.20
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 主術・処置等2-5あり 86 19.14 18.83 0.83 69.14
内科・呼吸器内科・腫瘍内科では肺癌、市中肺炎、アレルギー性肺疾患(薬剤性肺炎を含む)、閉塞性肺疾患、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、肺結核などあらゆる呼吸器疾患の専門的診療を行っております。特に肺癌については放射線科・呼吸器外科と連携して専門的な治療を行っております。 当院は、遠方からの患者やご高齢の患者が多く、治療の前後でリハビリが必要な患者にはあわせてリハビリを実施しているため、全国の平均在院日数に比べて在院日数がやや長くなっています。また当院ではDPCの対象外となっている薬剤での治療も数多く実施しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 主術・処置等2なし 定義副傷病なし 124 20.09 9.89 0.05 69.29
040150xx97x00x 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 13 44.08 28.25 0.08 68.46
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 10 16.10 9.17 0.00 67.80
040040xx97x01x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 主術・処置等2なし 定義副傷病あり - - 17.21 - -
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 主術・処置等2なし - - 13.59 - -
呼吸器外科では腫瘍内科、呼吸器内科、放射線科と一体となって呼吸器疾患(肺がん、悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍、気胸、間質性肺疾患など)の診断と治療を行っています。また、感染性疾患に対する外科治療や手掌多汗症に対する胸部交感神経遮断術も実施しています。悪性胸膜中皮腫には、胸膜外肺全摘術と胸膜切除剥皮術を実施しています。当院は、遠方からの患者やご高齢の患者が多く、治療の前後でリハビリが必要な患者にはあわせてリハビリを実施しているため、全国の平均在院日数に比べて在院日数がやや長くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8
大腸癌 - - - - - - 1 8
乳癌 - - - - - 10 1 8
肺癌 216 56 214 418 52 446 1 8
肝癌 - - - - - - - -
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌(胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌・肝癌)の病期分類別および再発の分類で集計したものです。 厚生労働省の指示による集計方法を用いておりますので、「患者数」は計測期間内の退院数となります。複数回入院の場合は入院回数分が集計されています。 再発は、当院・他施設を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者を診療した場合や、がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。 不明は、集計の段階で診断途中であったり、がん以外の重篤な疾患のために精査を見合わせている症例が含まれています。 また、新規治療法の一部はDPC制度対象外であり、今回の集計対象には含まれていません。このような理由からがん統計の集計値とは異なります。

■UICC 病期分類:UICC 病期分類国際対がん連合によって定められた分類
■(1)原発巣の大きさと進展度 (2)所属リンパ節への転移状況 (3)遠隔転移の有無
■(1)~(3)により各がんを1期(早期)から4期(末期)の 4病期(ステージ)に分類
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 23 13.91 56.61
中等症 82 19.65 79.72
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
市中肺炎の定義として、 DPCデータの入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(DPCコード6桁が040080に相当)で、さらにその中でもICD10コードがJ13~J18(肺炎レンサ球菌による肺炎、インフルエンザ球菌による肺炎、その他肺炎)で始まるものとしています。

【ICDとは】 International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略称で、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類です。
【ICD10コードとは】ICDは改訂を繰り返しており、そのうち第10回改訂におけるコードのことをICD10コードと言います。
現在では第11回改訂版(ICD11)が公表されていますが、ここにおいては第10回改訂版(2013年版)で分類したものになります。

市中肺炎とは、 普段の社会生活の中でかかる肺炎のことであり、成人市中肺炎診療ガイドライン (日本呼吸器学会)による重症度分類を用いて集計しています。この指標では細菌による肺炎を 集計しており、インフルエンザウイルスなどのウイルスによる肺炎や食べ物の誤嚥による肺炎、 気管支炎などは集計対象外です。 A(年齢)D(脱水)R(呼吸)O(見当識)P(血圧)の項目にいくつ該当するかにより治療方針が決まります。 当院ではどの重症度についても言えることですが、他院から、合併症があり対応が困難な症例や重篤化が予想される患者が紹介されることが多いため、他院に比べ平均在院日数が比較的長くなっています。 また肺炎は病気を持っている方に発症すると重症になりやすい病気です。当院ではがん、糖尿病、膠原病など肺炎を起こすと重症化しやすい患者の治療も行っております。今回の集計では主な病名で患者数を集計するため他の病気を持っている方は、肺炎として集計されないことがあります。このため、実際の「市中肺炎」での入院患者数は集計値より多いものになります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- - - - -
脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。当院では呼吸器疾患を専門的に診療しており、脳梗塞の患者はほとんどいません。 この集計では主な病名で患者数を集計するため、ほかの病気を持っている方は、脳梗塞として集計されないことがあります。他の病気を治療中に発症された患者についてはこの集計に含まれていないことがあります。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科、呼吸器内科、腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頚部その他) 19 14.79 13.68 0.74 70.53
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 11 3.27 12.00 0.36 70.18
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K7211 内視鏡的大腸粘膜切除術(長径2㎝未満) - - - - -
K496-5 経皮的膿胸ドレナージ術 - - - - -
内科・呼吸器内科・腫瘍内科では主に市中肺炎、アレルギー性肺疾患(薬剤性肺炎を含む)、閉塞性肺疾患、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、肺結核などあらゆる呼吸器疾患の専門的診療を行っているため、手術の場合は、呼吸器外科等へ紹介することが多いです。小手術(気管支瘻孔閉鎖術等)は当科で手術することがあります。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 75 4.93 14.41 0.05 69.99
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 24 4.50 13.88 0.04 72.50
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 21 4.52 13.52 0.00 70.05
K496-2 胸腔鏡下醸膿胸膜切除術 10 7.40 19.50 0.00 72.70
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) - - - - -
肺の悪性腫瘍をはじめ、良性腫瘍や気胸等に胸腔鏡手術を多数実施しています。この集計からは労災患者等が除かれていますので、実際の患者数とは異なります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
「入院契機と同一」とは、各傷病名欄の疾患と診断され入院となり、退院時においても入院時の傷病名欄の疾患が最も多くの医療資源を使用したことを意味しております。「入院契機と異なる」とは、別の病気の治療のため入院したものの入院中に各傷病名欄の容態となり、退院時には、入院時の疾患よりもそれらの治療により多くの医療資源が必要となった場合を意味しております。 癌などの大手術後に、血液の凝固に異常をきたす播種性血管内凝固症候群がおこることがあります。また、様々な感染症などから血液中に病原菌が入り敗血症になり、これが原因で播種性血管内凝固症候群がおこることもあります。当院の場合は、入院後に発症される患者が多いため件数は全体的にみて少なくなっています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
153 144 94.12
肺血栓塞栓症は、主に下肢の深部にできた血栓(深部静脈血栓症)が剥がれ、血流によって肺動脈に運ばれることで閉塞を引き起こす疾患です。太い血管が閉塞する重篤例では、肺の血流が途絶して死に至ることもあります。深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症の発症に至る前に、発症の危険レベルに応じた予防対策の実施が推奨されています。予防方法としては、静脈還流を促すために弾性ストッキング着用や間歇的空気圧迫装置(足底部や大腿部にカフを装着して空気により圧迫)の使用、抗凝固療法があります。肺血栓塞栓症の予防法の実施は、肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上である手術を施行された患者さんが対象となります。当院では肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した入院患者さんに対し、90%以上の割合で予防対策を実施しております。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
659 635 96.36
血液培養は、重篤な病態である「敗血症」を診断するための唯一かつ確実な検査です。検査精度を高めるために原則として2セット以上(=合計4本:好気ボトル2本、嫌気ボトル2本)の検体採取が必要です。血液培養は1セットのみだと菌血症の約30%を見逃すと言われており、2セット採取が基本となっています。1本ではなく1セットと呼ぶのは、好気ボトルと嫌気ボトル2本で1セットと数えるためです。当院では90%以上の割合で血液培養2セットを実施しております。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
313 279 89.14
近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や、幅広い菌種に効果を有するカルバペネム系抗菌薬に耐性のある腸内細菌科細菌など、新たな抗菌薬耐性菌(以下、耐性菌)が出現し、難治症例が増加していることが世界的な問題となっています。不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、各医療機関において抗菌薬適正使用支援チーム(AntimicrobialStewardship Team: AST)を組織するなど、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。当院では抗菌薬が必要な患者さんに対し、80%以上の割合で細菌培養同定検査を実施しております。
更新履歴
2024.9.30
初期作成