アスベストと中皮腫 Q&A
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Q & A
Q1.アスベスト(石綿)とは?
A: 天然の繊維状鉱物。耐久、耐火、電気絶縁性にすぐれている。青石綿(クロシドライト)、茶石綿(アモサイト)、白石綿(クリソタイル)と呼ばれる3種類の鉱物が、建材や断熱材、水道管などに広く使われた。その粉塵を吸い込むと、肺付近の膜などにできるがん「悪性中皮腫」や呼吸器障害などの原因になるため、吹き付けでの使用が75年に禁止された。さらに95年、発がん性が高い青石綿、茶石綿の輸入・製造や使用が禁止になった。白石綿も青石綿あるいは茶石綿を1%以上含む製品については04年から製造などが原則禁止になった。(図1)
A: 天然の繊維状鉱物。耐久、耐火、電気絶縁性にすぐれている。青石綿(クロシドライト)、茶石綿(アモサイト)、白石綿(クリソタイル)と呼ばれる3種類の鉱物が、建材や断熱材、水道管などに広く使われた。その粉塵を吸い込むと、肺付近の膜などにできるがん「悪性中皮腫」や呼吸器障害などの原因になるため、吹き付けでの使用が75年に禁止された。さらに95年、発がん性が高い青石綿、茶石綿の輸入・製造や使用が禁止になった。白石綿も青石綿あるいは茶石綿を1%以上含む製品については04年から製造などが原則禁止になった。(図1)
Q2.アスベスト(石綿)による健康障害とは?
A: アスベスト(石綿)暴露によって生じる疾患には、石綿肺、肺がん、中皮腫、および胸膜疾患がある。胸膜疾患には、石綿良性胸膜炎、びまん性胸膜肥厚および胸膜プラーク(胸膜肥厚斑、限局性胸膜肥厚)がある。
Q3.石綿肺とは?
A: 石綿肺はアスベスト(石綿)粉じんを吸入することによって起こる肺のびまん性間質性肺線維症。通常アスベスト暴露から10年以上のちに胸部X線で下肺野に不整形陰影を呈する初期病変が現れる。特に肺がん、中皮腫、気胸、胸水、気管支炎などの合併に注意が必要。アスベスト暴露中止後も石綿肺は徐々に進展し、予後は他のじん肺に比べて良くない。
Q4.アスベスト(石綿)暴露による肺がんの特徴は?
A: アスベスト(石綿)暴露量が多くなるほど肺がんのリスクは高くなり、一般に25繊維・年(暴露濃度×暴露年数)で肺がんのリスクは2倍になると見積もられる。ただ、同じ繊維・年でも石綿が使われていた産業分野でかなりの差がある。肺がんの最大要因はタバコだが、喫煙とアスベストの両者の暴露を受けると、肺がんのリスクは相乗的に高くなることが知られている。アスベスト暴露によって生じる肺がんに発生部位、病理組織型の特徴はないが、胸膜プラーク、石綿小体の有無が参考になる。
Q5.良性石綿胸水とは?
A: アスベスト(石綿)暴露によって生じる非悪性の胸水。アスベスト暴露から10年以内に発症することもあるが、多くは20~40年後に発症する。悪性腫瘍や結核などの他に胸水の原因となる疾患を除外することが必要。何度も繰り返すことによりびまん性の胸膜肥厚をもたらしたり、胸水が消えない場合には、拘束性の肺機能障害をきたす。著しい肺機能障害を呈する場合には労災補償の対象となる場合がある。
Q6.びまん性胸膜肥厚とは?
A: アスベスト(石綿)によるびまん性胸膜肥厚は、良性石綿胸水の後遺症として生じることが多いが、まれに、明らかな胸水貯留がないのに、徐々にびまん性の胸膜肥厚が進展する場合もある。病理学的には、肺を覆う胸膜(臓側胸膜)あるいは胸壁の内側の胸膜(壁側胸膜)の慢性線維性胸膜炎。円形無気肺は胸部レントゲンで円形もしくは類円形を呈する腫瘤様陰影を呈する末梢性の無気肺。良性石綿胸水後に発生することが多いが、結核、呼吸器感染症、心不全などの胸水後に発生することもある。(無気肺とは、肺の一部に空気が入らなくなって縮まった状態のこと)
Q7.中皮腫とは?
A: 中皮腫は、胸膜・腹膜・心膜・精巣鞘膜より発生する悪性腫瘍。アスベスト(石綿)暴露からおおむね30~50年後に発症する。頻度は胸膜原発がもっとも多く、次いで腹膜、心膜や精巣鞘膜は非常にまれ。アスベストに暴露した人が、原因不明の胸水や、頑固な胸痛、健診時に胸部異常陰影を指摘されたら胸膜中皮腫も考えなければならない。確定診断には病理組織検査が必須である。中皮腫は、石綿肺を起こさない程度の暴露量によっても発症する。通常中皮腫は発症後、数年以内に死亡にいたる。
Q8.悪性胸膜中皮腫の診断はどのようにするのですか?
A:まず、自覚症状(息切れ、咳、胸痛など)または健診などで胸水細胞診(パパニコロウ染色) 胸部異常陰影が発見され医療機関を受診することになります。次に、職業歴(アスベスト・石綿暴露歴)を伺います。胸部CTなどの画像診断で胸水の量、胸膜腫瘤・肥厚の有無を確認します。胸壁に局所麻酔を行い注射器で胸水を抜き取り細胞診(がん細胞の有無をみる検査)を行ないます。(写真1)
細胞診だけでは不十分な場合、胸腔鏡検査で胸膜や肺の一部を切除し病理組織検査を行います。このときに、特殊な免疫染色や電子顕微鏡検査を行う場合もあります。胸腔鏡で肉眼的に胸腔内を観察して胸膜プラークの有無をみたり、切り取った肺の一部を詳しく検査して石綿小体の有無を確認してアスベスト(石綿)暴露があったのかどうかを確認することが労災認定の際に重要な所見として参考にされる場合があります。
▲ 写真1
胸水細胞診(パパニコロウ染色)
A: アスベスト(石綿)暴露によって生じる疾患には、石綿肺、肺がん、中皮腫、および胸膜疾患がある。胸膜疾患には、石綿良性胸膜炎、びまん性胸膜肥厚および胸膜プラーク(胸膜肥厚斑、限局性胸膜肥厚)がある。
Q3.石綿肺とは?
A: 石綿肺はアスベスト(石綿)粉じんを吸入することによって起こる肺のびまん性間質性肺線維症。通常アスベスト暴露から10年以上のちに胸部X線で下肺野に不整形陰影を呈する初期病変が現れる。特に肺がん、中皮腫、気胸、胸水、気管支炎などの合併に注意が必要。アスベスト暴露中止後も石綿肺は徐々に進展し、予後は他のじん肺に比べて良くない。
Q4.アスベスト(石綿)暴露による肺がんの特徴は?
A: アスベスト(石綿)暴露量が多くなるほど肺がんのリスクは高くなり、一般に25繊維・年(暴露濃度×暴露年数)で肺がんのリスクは2倍になると見積もられる。ただ、同じ繊維・年でも石綿が使われていた産業分野でかなりの差がある。肺がんの最大要因はタバコだが、喫煙とアスベストの両者の暴露を受けると、肺がんのリスクは相乗的に高くなることが知られている。アスベスト暴露によって生じる肺がんに発生部位、病理組織型の特徴はないが、胸膜プラーク、石綿小体の有無が参考になる。
Q5.良性石綿胸水とは?
A: アスベスト(石綿)暴露によって生じる非悪性の胸水。アスベスト暴露から10年以内に発症することもあるが、多くは20~40年後に発症する。悪性腫瘍や結核などの他に胸水の原因となる疾患を除外することが必要。何度も繰り返すことによりびまん性の胸膜肥厚をもたらしたり、胸水が消えない場合には、拘束性の肺機能障害をきたす。著しい肺機能障害を呈する場合には労災補償の対象となる場合がある。
Q6.びまん性胸膜肥厚とは?
A: アスベスト(石綿)によるびまん性胸膜肥厚は、良性石綿胸水の後遺症として生じることが多いが、まれに、明らかな胸水貯留がないのに、徐々にびまん性の胸膜肥厚が進展する場合もある。病理学的には、肺を覆う胸膜(臓側胸膜)あるいは胸壁の内側の胸膜(壁側胸膜)の慢性線維性胸膜炎。円形無気肺は胸部レントゲンで円形もしくは類円形を呈する腫瘤様陰影を呈する末梢性の無気肺。良性石綿胸水後に発生することが多いが、結核、呼吸器感染症、心不全などの胸水後に発生することもある。(無気肺とは、肺の一部に空気が入らなくなって縮まった状態のこと)
Q7.中皮腫とは?
A: 中皮腫は、胸膜・腹膜・心膜・精巣鞘膜より発生する悪性腫瘍。アスベスト(石綿)暴露からおおむね30~50年後に発症する。頻度は胸膜原発がもっとも多く、次いで腹膜、心膜や精巣鞘膜は非常にまれ。アスベストに暴露した人が、原因不明の胸水や、頑固な胸痛、健診時に胸部異常陰影を指摘されたら胸膜中皮腫も考えなければならない。確定診断には病理組織検査が必須である。中皮腫は、石綿肺を起こさない程度の暴露量によっても発症する。通常中皮腫は発症後、数年以内に死亡にいたる。
Q8.悪性胸膜中皮腫の診断はどのようにするのですか?
A:まず、自覚症状(息切れ、咳、胸痛など)または健診などで胸水細胞診(パパニコロウ染色) 胸部異常陰影が発見され医療機関を受診することになります。次に、職業歴(アスベスト・石綿暴露歴)を伺います。胸部CTなどの画像診断で胸水の量、胸膜腫瘤・肥厚の有無を確認します。胸壁に局所麻酔を行い注射器で胸水を抜き取り細胞診(がん細胞の有無をみる検査)を行ないます。(写真1)
細胞診だけでは不十分な場合、胸腔鏡検査で胸膜や肺の一部を切除し病理組織検査を行います。このときに、特殊な免疫染色や電子顕微鏡検査を行う場合もあります。胸腔鏡で肉眼的に胸腔内を観察して胸膜プラークの有無をみたり、切り取った肺の一部を詳しく検査して石綿小体の有無を確認してアスベスト(石綿)暴露があったのかどうかを確認することが労災認定の際に重要な所見として参考にされる場合があります。
▲ 写真1
胸水細胞診(パパニコロウ染色)
Q9.胸膜プラークとは?
A: 胸膜プラークは胸壁の内側の胸膜(壁側胸膜)に生じる局所的な肥厚で、肉眼的には表面に光沢のある白色~象牙色を呈し凹凸を有する平板状の隆起として認められる。通常アスベスト(石綿)暴露から 20 年以上を経て、胸部レントゲンで認められるようになる。胸膜プラークは過去における石綿暴露の重要な指標であり、石綿小体とともに肺がんや中皮腫の労災認定の際の重要な医学的所見である。
Q10.石綿小体とは?
A:石綿小体とはアスベスト(石綿)繊維がフェリチンという物質で覆われたものをいい、肺や胸膜から検出される。胸膜プラークと同様に、過去のアスベスト暴露の重要な指標である。通常、直径 2~5μで、金色~褐色の特徴的形態を示す。(写真1)
▲写真1 石綿小体
Q11.アスベスト(石綿)暴露の可能性のある職業は?
A:
- 石綿鉱山またはその付属施設において行なう石綿を含有する鉱物または岩石の採掘、搬出または粉砕その他石綿の生成に関する作業
- 倉庫内、船積み・荷おろしにおける石綿材料の袋詰めや石綿製品の梱包、運搬作業
- 石綿製品の製造工程における作業
- 石綿の吹き付け作業
- 耐熱性の石綿製品を用いて行なう断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
- 石綿製品の切断等の加工作業
- 石綿製品が被覆材または建材として用いられている建物、その付属施設等の補修または解体作業
- 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
- 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク、バーミュライト、繊維状ブルサイト等)の取扱い作業
- 石綿製品を直接取り扱う作業
Q12.アスベスト(石綿)に暴露した人はみんな石綿肺や中皮腫になるのですか?
A: アスベスト(石綿)に暴露した人はみんな石綿肺や中皮腫になるわけではありません。しかし、アスベストに暴露した人は、暴露しなかった人よりも、肺がんや中皮腫になるリスクが高いので定期的に健診を受け、早期発見を行なうことが大切です。
Q13.中皮腫の診断、治療は山口宇部医療センターでできるのですか?
A: 山口宇部医療センターには呼吸器学会指導医、専門医、呼吸器外科学会指導医、専門医が充実していますので安心して診断、治療が受けられます。 厚生労働省がん助成金による研究班「悪性胸膜中皮腫の診断精度の向上と治療に関する研究」(主任研究者、森永謙二:産業医学研究所部長)の研究にも参加し、悪性胸膜中皮腫に関する最新情報をもとに診断、治療を行なっています。
Q14.中皮腫に係る労災認定はどのようになっていますか?
A: じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上ある石綿肺の所見が得られている等の石綿ばく露労働者に発症した「中皮腫」については、労働基準法施行規則別表第1の2第 7 号7に該当する業務上の疾病として取り扱うこととしています。