手掌多汗症外来このページを印刷する - 手掌多汗症外来

「手掌多汗症」に対する 胸腔鏡下胸部交感神経節切除術について

手のひらなどに非常に沢山の汗をかくため、握手ができない、試験用紙など大事な書類を濡らしたり、汚したりして困るなど悩んでいる人がたくさんおられます。このような疾患を「手掌多汗症」といいます。「手掌多汗症」は自律神経のひとつである交感神経が過度に緊張することが原因です。今まで皮膚科の先生による治療も、なかなか効果が得られませんでした。最近の光学システムや周辺機器の開発により、内視鏡を用いる手術がめざましく進歩しています。「手掌多汗症」も胸腔鏡下胸部交感神経節切除術による治療が可能になっています。

私たちは、これまで70人以上の患者さんに「胸腔鏡下胸部交感神経節遮断術(ETS)」を行って、手の汗を止めることができ、多くの患者さんに、「積極的な行動がとれるようになった」、「仕事の能率が上がるようになった」、「生まれ変わったみたい」等々と喜ばれています。私たちの方法は 直径10mmの小さい穴を脇の下に1つあけ、ここから手術を行ないます。治療は両側の胸部交感神経遮断を行いますので、左右の脇の下の小さい創をつけることになります。しかし、手術後には縫合する必要はなく、傷跡はほとんど目立ちません。多汗症で悩んでいる患者さんには若い方が多くおられますが、傷跡が残らないことは大変大きなメリットです。手術は片側約20分、両側を完了するまでに40分以内にすべての治療が終わります。短時間で終了できるということは、手術侵襲が小さいということでもあります。

ただし、この手術にも「代償性発汗」という欠点があります。これは、手術後に背中、お尻、太ももなどの発汗が多くなる現象です。これに対する有効な治療法はありません。「手掌多汗症」の手術を受けられる時には、自分は本当に手の汗が多くて日常生活にも支障があるのか、代償性発汗を受け入れられるか、よく考えてから決められて下さい。

以下に、説明書、手術の説明書を掲示します。参考にして下さい。

説明書

病 名 手掌多汗症
手術名 胸腔鏡下胸部交感神経遮断術
手術時間 約1時間
麻 酔 全身麻酔
手術内容 胸の中にある胸部交感神経という多量の発汗の原因になっている神経を、内視鏡で見ながら遮断する手術です。両側のわきに約1cmの創がはいります。
合併症 手の発汗は止まりますが、腰、お尻、太股などに汗をかきやすくなることがあります(代償性発汗)(下のグラフ)。
入院期間 二泊三日(手術日朝に入院、翌日10時頃に退院です)。
費 用 約11万円
手掌多汗症外来
説明書
平成 年 月 日
患者氏名     殿
説明医師
病気の状態と、予定する手術内容や合併症、術後処置などについて説明します。
病名:手掌多汗症
麻酔:全身麻酔
手術名:胸腔鏡下胸部交感神経遮断術
予定出室時間: 午後13時頃
予定時間:午後14時~15時(約1時間)
予定帰室時間:午後16時頃(手術終了後、麻酔をさまして帰ります)

予定手術内容

多量の発汗の原因になっている胸部交感神経を内視鏡で見ながら遮断する手術です。
両側のわきの下に約1cmの傷がはいります。

予想される合併症

この手術は比較的安全に行われていますが、次のような合併症が考えられます。

手の発汗がとまると、その分、背中やお尻、太腿などに汗をかきやすくなります。

肺に癒着があるような場合、手術をやめてしまう場合と、癒着をはずすために5mmほどの傷をもう1個所増やす場合とがあります(可能性5%)。

術後処置

手術終了後は眠いです。はっきりするのは帰室後2時間ぐらいからでしょう。その頃から、トイレに歩いて行かれてもかまいません。

手術に伴い肋間神経の緊張が高まり、一時的に胸に痛みが出ることがあります。多くは1、2日で治ります。痛みが強い場合には、痛み止めの薬が用意していますので、看護師さんに申し出てください。

帰室4時間以降、飲んだり、食べたりしてけっこうです。また、この頃には酸素や点滴は終了になります。

翌日

胸部レントゲン写真を撮影します。その後、午前10時頃、退院していただいてけっこうです。
術後1週間ほどの間は、2日に一度程度、御自分で創の消毒をして下さい。