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診療科紹介 呼吸器外科

当科の特色

当院は、がん・呼吸器センターであり、手術の対象となる呼吸器疾患の患者様が多数来院されます。呼吸器外科での年間手術件数(全身麻酔)は約330件であり、とくに肺癌手術件数は年間150~190件と山口県では最も多く、日本でもトップクラスの手術件数です。

呼吸器疾患に関する手術を受ける場合、手術件数が多く、かつ呼吸器外科専門医のいる病院が適しています(呼吸器疾患に関する手術をお受けになる場合には、手術件数が多く、かつ呼吸器外科専門医がいる病院を選ばれることが望ましいと言えます)。なぜなら、手術数が多いほど手術成績が良好で合併症が少ないことが知られているからです。また、日本呼吸器外科学会も、呼吸器外科医・専門医による呼吸器外科手術を推奨しています。当院は山口県の呼吸器外科基幹施設であり、また経験豊富な呼吸器外科専門医が5人いることから、より高度で安全な手術を患者様にご提供できていると自負しております(呼吸器外科専門医名簿が呼吸器外科専門医合同委員会のホームページ http://chest.umin.jp で公表されています。山口県内では17人が認定されています)。

当院では、ほとんど全ての呼吸器外科手術を行っていますが、とくに肺癌や良性肺疾患・縦隔腫瘍などに対する胸腔鏡下手術と進行肺癌に対する化学放射線治療後の手術、そして悪性胸膜中皮腫に対する手術に力を入れています。手術に際しては、患者様とご家族に十分な説明を行い、ご理解をいただいた上で安心して手術をお受けいただくように努めています。セカンドオピニオンでの受診も随時受け付けております。

もう一つの特色として、手術で切除された肺に含まれるアスベスト小体の計数を行っています。原発性肺癌などの石綿健康被害救済制度や労災補償で、アスベスト小体数は認定基準の重要な項目となります。

当院は、風光明媚な山口県の中でも周防灘(瀬戸内海)に面した抜群のロケーションに位置しています。また、空港、鉄道、高速道路からのアクセスも大変良く、県内のみならず県外からも多くの患者様が来院されています。
2012年4月に新病棟がオープンし、入院中は穏やかにお過ごしいただくことができ、呼吸器疾患で手術が必要な患者様に安心して手術を受けていただく環境が整っています。
当科の特色

胸腔鏡下手術


導入化学放射線治療後の手術
これまでは、肺の手術といえば側胸部を横断するような20-30 cmにも及ぶ傷で手術を行うことが一般的でした。それによる機能障害や痛みが、術後の生活の質を下げる原因の一つになっていました。近年、胸腔鏡という筒型のビデオカメラを用いて、小さい傷で胸の中をテレビモニターに映しながら手術を行う「胸腔鏡下手術」が普及してきました。当院では比較的早期から胸腔鏡下手術を導入しており、現在は肺手術の多くに胸腔鏡手術を行っています。傷の大きさもより小さくなり、術後の痛みや機能障害の軽減、美容的にも有効であると考えられています。

最近は「完全胸腔鏡下手術」を肺癌の手術にも導入しています。すなわち、3-4ヶ所の小さい傷(1-4 cm)で、ハイビジョンモニターのみを見ながら肺癌手術を行う方法です。腫瘍の大きさが大きい場合、特別な手技を要する手術、高度の胸腔内癒着、術前抗癌剤放射線治療などの場合を除き、左右・部位に関わらず、この方法で手術を行っています。ハイビジョンカメラとハイビジョンモニターを使用することから、非常に鮮明な画像のもとに手術を行うことができます。また、拡大した画像で手術を行えることから、より繊細で確実な手術が可能であると考えています。本法はより小さな傷で手術を行えるため、患者様への負担の軽減も期待できます。手術中の合併症発生頻度は以前と同様に非常に低く、安全性は十分に確保できています。また、痛みが少ないため、ほとんどの患者様で術翌日に病棟内歩行が行えるほど回復が早く、術後1週間程度で退院可能となることから、より体に優しい手術が行えていると自負しています。

リンパ節転移や胸壁浸潤を伴う進行肺癌に対して、抗癌剤治療と放射線治療を行い、治療効果が得られた患者様には積極的に根治手術を行っています。抗癌剤と放射線治療の後に手術が行われることから治療に関する合併症が危惧されますが、術後の経過は通常の手術とほぼ同等で術後の生存率も良好であることから、現在注目されています。

悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫
岡部和倫外科系診療部長は、悪性胸膜中皮腫に対する手術では世界で最も経験の多いシュガーベーカー教授(Professor David Sugarbaker, Division of Thoracic Surgery, Brigham and Women’s Hospital, Boston, Massachusetts, USA)から手術を学び、その経験を生かして当院でも多くの悪性胸膜中皮腫に対する手術を行ってきました。手術合併症の頻度は低く、無輸血で手術を完遂することも少なくありません。疾患自体が多くないために治療経験が豊富な施設は全国でも限られています。当院は手術件数が多く経験が豊富なため、より安全で確実な手術が患者様にご提供できていると自負しております。しかしながら、悪性胸膜中皮腫は、手術単独での治療成績が十分でないために、術後の放射線治療・抗癌剤治療が必要です。当院は外科のみならず放射線治療・抗癌剤治療の経験が豊富であることから、連携しながら集学的な治療を行っています。現在は、山口県近隣のみならず全国から悪性胸膜中皮腫の患者様が来院されています。

2017年2月に国会総務委員会で、近藤昭一議員が山口宇部医療センターを紹介して下さいました。当院が近藤議員にお願いしたのではありません。

転移性肺腫瘍

肺以外の癌が肺へ転移を起こした場合に、肺の転移巣を切除することで良好な治療効果が期待できる場合があります(大腸癌などは肺転移の切除で予後を改善することが知られています)。多くは肺の辺縁に転移を起こすため、肺を部分的に(くさび形に)切除することで治癒が得られますが、転移する部位や転移巣の大きさによっては部分切除術が困難な場合もあります。無理な切除は腫瘍からの十分な距離が確保されず、再発の危険性が増加します。部分切除術が困難な場合はできるだけ正常肺を温存する目的で区域切除術が行われ、それでも困難な場合は肺葉切除術が行われています。

このように、転移性肺腫瘍においても、腫瘍の部位や大きさで手術術式が異なります。また区域切除術は煩雑な手技を要するため呼吸器外科専門施設での手術が望まれます。したがって、転移性肺腫瘍と診断された場合は、手術の適応や手術方法決定のために呼吸器外科専門医の診断をお受けになることをお勧めします。

当院では、部分切除術が困難な場合は積極的に区域切除術を行っており、ほとんどの場合はこれらの手術を患者様の負担の少ない胸腔鏡下手術で行っています。

縦隔腫瘍

縦隔腫瘍に対しても、積極的に胸腔鏡手術を導入しています。胸腔鏡手術のメリットは、胸骨を切離する必要がないため術後の胸骨骨髄炎などの危険性がなく、また術後放射線治療が必要な患者様にも胸骨の治癒を待つ必要がないため、迅速に治療を開始することができます。美容的にも優れており、胸骨を切って行う従来の手術を行うと首から前胸部にかけての縦切開の傷が問題となっていましたが、胸腔鏡手術は側胸部に傷が入るので傷が目立ちにくく、とくに若年者や女性にも受け入れやすい手術です。縦隔腫瘍に対する胸腔鏡手術の安全性や治療効果は、従来の手術と比較しても遜色ありません。

気管・気管支ステント留置術

気管・気管支ステント留置術
当科では、腫瘍などによる気管・気管支狭窄に対し、レーザー焼灼術やステント留置術を積極的に行っています。また、必要に応じて硬性鏡を用いたステント留置を行っています。山口県では硬性鏡を用いたステント留置を行っている施設は当院だけです。

手掌多汗症に対する胸部交感神経遮断術

手掌多汗症対するもっとも有効な治療法として、胸部交感神経遮断術があります。しかしながら、合併症に代償性発汗という手掌以外の部位に多量の発汗を認める症状があり、患者様の満足度を下げる要因となっています。最近当科では、胸部交感神経の遮断部位を工夫して、手の発汗は十分に抑制し、かつ代償性発汗を軽減するように心掛けています。手術は胸腔鏡を用いて行い、左右それぞれ1ヶ所の傷で安全に施行可能です。現在は、2泊3日の入院で行っています。

当科で手術を行っている疾患
1. 原発性肺癌
2. 転移性肺腫瘍
3. 肺良性腫瘍
4. 悪性胸膜中皮腫
5. 気管腫瘍
6. 気胸、巨大肺嚢胞、肺気腫
7. 縦隔腫瘍
8. 胸壁腫瘍
9. 膿胸
10. 手掌多汗症  など

呼吸器外科手術件数

  原発性肺癌 転移性肺腫瘍 中皮腫 気胸 IP 縦隔 ステント 胸部交感神経遮断術 その他
2007 160 9 16 16 15 12 13 6 65
2008 171 10 10 20 17 8 18 3 63
2009 155 6 12 7 17 14 24 5 63
2010 174 8 14 21 26 10 9 8 56
2011 154 8 16 20 24 9 7 1 45
2012 165 12 11 14 7 6 14 0 61
2013 190 11 14 13 15 10 25 2 50
2014 174 17 14 18 4 16 16 6 74
2015 149 21 22 5 6 8 21 6 74
2016 172 14 13 14 6 6 14 6 49