生化学・免疫検査このページを印刷する - 生化学・免疫検査

患者さんから採取した血液や尿中の成分を分析し、肝機能、腎機能、脂質・糖代謝、血中薬物濃度、感染症、腫瘍マーカー、ホルモンなどを調べます。
これらの数値だけで病気の診断をすることはできませんが、それぞれの数値が高いか低いかによって、大まかな指標になります。
 

生化学検査

  検査略称 名 称 検査で分かること
蛋 白 TP 血清総蛋白 血液中のたんぱく質を調べたもので、栄養状態や、肝・腎機能の指標、肝硬変やネフローゼによる低蛋白血症で低下し、脱水や多発性骨髄腫で上昇します。
ALB    アルブミン     肝臓で合成される血中の主なたんぱく質で、栄養状態の悪化や肝臓障害の程度を反映します。
A/G比 アルブミン/グロブリン比 血液中のたんぱく質のアルブミンとグロブリンの比率をあらわしたものです。アルブミンは肝臓だけで作られるので肝機能に異常が出たときはA/G比は低くなります。
CRP 急性相反応物質 炎症性疾患で上昇するたんぱく質の一種です。炎症性疾患や体内組織の破壊がある場合に血中で増加し、炎症マーカーとして用いられます。
肝 機 能 T-Bil 総ビリルビン         赤血球中のヘモグロビンが肝臓で処理されてできる黄色い色素で、胆汁に多く含まれます。肝臓や胆嚢に障害があると高くなりますが、特に病気でなくても体質的にビルビリンが高い人もいます。肝疾患の診断・黄疸の鑑別に有用です。
D-Bil 直接ビリルビン     ヘモグロビンが肝臓で処理されて出来たものを間接ビルビリンといい、それが肝臓で水溶性に変化したものを直接ビリルビンといいます。これらのビリルビンの量の違いから黄疸の原因を調べることができます。
AST(GOT) アスパラギン酸トラスフェラーセ  体の中の様々な臓器に含まれています。肝臓、心筋など多くの臓器に含まれています。健康な人の中にも常に一定量含まれていますが、臓器や組織が損傷すると血液中に大量に流れてきます。主に肝機能障害の程度がわかります。
ALT(GPT) アラリン酸トラスフェラーセ  AST(GOT)とともに酵素のひとつであり、おもに肝細胞に多く含まれているので肝に特異性が高く肝炎の病態指標に有用です。AST、ALTともに飲酒や激しい運動後、薬やストレスなどでも上昇します。
LD(LDH) 乳酸脱水素酵素          酵素の一つで、あらゆる細胞の中に含まれています。特に、心筋、肝臓、骨格筋に多く含まれています。運動や軽作業によっても上昇します。これだけでは病気の特定はできないので他の検査もあわせて総合的に検査していきます。
ALP アルカリフォスファターゼ     酵素の一つで、血液中ではおもに肝臓や、骨、骨盤、小腸から由来し、肝障害、胆汁うっ滞や骨疾患、妊娠で上昇を示し、血液型がB型、O型の人はやや高めです。
γ-GTP γ-グルタミルトランスペプチターゼ      酵素の一つです。肝臓や胆道の病気があると他の酵素より早く異常値を示します。そのため、アルコールによる肝障害の指標になる検査として知られています。
ChE コリンエステラーゼ       肝で合成され血中に分泌されるため、活性の低下は肝実質細胞の機能障害を反映し、有機リン剤による中毒では急激な低下を来たします。
心機能 CK クレアチンキナーゼ      骨格筋や心筋の破壊を反映して上昇する酵素で、急性心筋梗塞や多発性筋炎で上昇します。
膵臓 AMY アミラーゼ         おもに唾液腺と膵臓から分泌される酵素です。高くなると膵炎、唾液腺炎の可能性も考えられますが、詳しい検査も必要になります。
糖代謝 GLU 血糖 血液中のブドウ糖の濃度を調べます。糖尿病ではもちろんのこと、胃切除後や薬、ストレスなどでも上昇します。また、肥満、運動不足も血糖を上昇させる要因になります。
HbA1c ヘモグロビンA1c    血液中のブドウ糖が赤血球内のヘモグロビンと結合したものを調べる検査で、過去1~2ヶ月の血糖の平均値を推測するものです。%で表現されます。
脂質検査 T-Cho 総コレステロール   コレステロールはホルモンの材料や細胞膜を作るなどの働きがありますが、多くなりすぎると動脈硬化の原因になります。また、少ないと血管が切れやすくなり、脳出血などが起こりやすくなります。
TG 中性脂肪   体内のエネルギー源として使われます。おもに、食物からの摂取になりますが、多く取りすぎると体内に蓄積され、肥満の原因になります。
HDL-Cho 高比重リポ蛋白 コレステロールの一つで末梢からコレステロールを取り除くため、善玉コレステロールと呼ばれています。
LDL-Cho 低比重リポ蛋白 俗に悪玉コレステロールと呼ばれ、高値は将来における動脈硬化性疾患(脳梗塞・心筋梗塞・肺梗塞など)の危険因子となります。
腎機能検査 BUN 尿素窒素  体のたんぱく質の最終産物であり、大部分は尿中から排泄されます。腎臓の機能が低下すると高値になりますが、たんぱく質をたくさん摂取したときや、脱水のときにも高くなります。
CRE クレアチニン  主に筋肉内で産生される窒素化合物の最終代謝産物で、食事の影響を受けず、腎臓機能の優れた指標です。
UA 尿酸     腎臓から排泄される細胞の核構成成分(主な成分をプリン体)の終末代謝産物で、魚や肉などの動物性たんぱくを取りすぎると尿酸値があがり、関節内に尿酸結晶が沈着し、痛風発作を起こしやすくなります。尿管結石の原因にもなります。
電解質  Na・K・CL ナトリウム・カリウム・クロール Na:細胞外液中の陽イオンの主体です
K:細胞内液に多く存在し、異常高値の場合には心室細動から心停止になります
CL:NaCLとして大部分が細胞外液に存在し、血中の代表的な陰イオンです。
Ca カルシウム         生体内のカルシウムは99%が骨、歯などの硬組織に貯蔵、骨代謝だけでなく筋収縮、血液凝固にも必須な物質で甲状腺や副甲状腺からのホルモン異常の検出にも役立ちます。

免疫検査

  検査略称 名称 検査で分かること
感染症 RPR
TP抗体 
梅毒脂質抗原試験
梅毒病原体試験
梅毒反応の有無を調べる検査です。治療が終わっても検査には反応して陽性になることがあります。また梅毒でなくても検査の結果が陽性になることもあります。

HBs抗原
HCV抗体

B型肝炎ウイルス表面抗原
C型肝炎ウイルス抗体
B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査です。
腫瘍マ|カ|  シフラ サイトケラチン19
フラグメント
肺の扁平上皮癌および腺癌の診断に有用です。
CEA 癌胎児性抗原 消化管の悪性腫瘍を中心に、最も汎用的に用いられる血中腫瘍マーカーです。
CA19-9 - 消化器癌(特に膵・胆のう・胆管癌)において高値になります。
 KL-6 シアル化糖鎖抗原KL-6 間質性肺炎で血中に上昇するマーカーです。
ホルモン TSH 甲状腺刺激ホルモン 下垂体前葉から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を刺激します。
FT3 遊離トリヨードサイロニン 甲状腺ホルモンの一種です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)で高値になります。
FT4 遊離サイロキシン 甲状腺ホルモンの一種です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)で高値になります。

臨床検査項目基準値